医師は「確率」とどう向き合うべきか?―医療における「確率」の功罪

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医療の現場において、「確率」の概念は広く浸透しています。薬や治療法の比較検討においても、患者さんへの説明でも、「確率」は頻繁に用いられます。もし、医療において「確率」というものがなくなったとしたら、EBM(根拠に基づいた医療)やインフォームドコンセントの実践は不可能になるでしょう。

しかし、その何気なく使っている「確率」とは何でしょうか?

サイコロを振って3が出る確率は1/6、つまり6回に1回ですが、実際に「サイコロを6回振った場合に3が1回出る」のかというと、そうとも限りません(実際にそうなる確率は2/5です)。「ずっと繰り返せば6回に1回になる」と言うことは可能ですが、その意味するところは何でしょうか?

こうしてみると「確率」について私たちは、よく理解しないで使ってしまっているのかもしれません。そこで、以下に確率についての考察を加えた上で、「医師が本来どのように確率という道具と向き合うべきか」について考えていきたいと思います。

 

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医師を取り巻く環境とは?―医師が選んだ「今年の漢字一字」の4年推移

医師が選ぶ「医学界・医師界における今年の漢字一文字」について

医師のコミュニティサイト「メドピア」が2012年から毎年実施している医師へのアンケートの中に、医師が選ぶ「医学界・医師界における今年の漢字一文字」というものがあります。各年の年末に行なわれ、毎年2,000~3,000人の医師が回答し、医師・医学界の一年を振り返るものとして発表されます。

今回は、医師が選ぶ「今年の漢字一字」の2012年から2015年の推移をもとに、一年の短期的な世相というよりも、根深く長期に渡って医師を取り巻き続けている環境を明らかにしたいと思います。

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人間の「品種改良」は許されるか?遺伝子技術によるエンハンスメントの問題点

人間の根源的な欲求は「全知全能」?

突然ですが、もしも一つだけ願い事がかなうとしたら、何と答えるでしょうか?私はかつてそう聞かれた際に「全知全能」と答えたことがあります。

「何でも叶えることができるようになる願い事なんて反則じゃないか」という反応が返ってきそうですが、実際にどんな願いでも一つだけ叶えることができるとして、「全知全能も答えてよい」としたら、誰もが同じように答えるのではないでしょうか?

たとえ私利私欲がなく、その一生を他の人々のために費やしたいという使命感に燃えているような人でもそうでしょう。なぜなら、全ての人を救うことのできる力が手に入れられるとしたら、どんな善人でもそれを望むだろうからです。

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