「医師の幸福を考える哲学カフェ」について

医師の幸福追求はどのようなものであるべきか?

本サイトは、医師にとっての幸福(=wellbeing)を良く(well)生きること(being)と考え、現代の社会が求めてくる役割や要請を背負いながら生きる医師にとって、「いかに生きるべきか」を哲学の立場から考えていくことを目指しております。

本サイトが対象とするのは医師のため、基本的に医師の方々へ向けた情報発信が主となりますが、ときには一般の方へ向けて、現在の医師が置かれている状況と、医師の抱えている本音ベースの悩みなどもお伝えし、患者として、あるいは地域住民として医師とどのように関わるべきか、ということも触れていきたいと思います。

管理人の私は医師ではなく哲学の出身ですが、周囲に医師の知り合いが多く、また哲学でも医療倫理学を中心に学んでいたこともあって、医療者が抱える倫理的課題などを考えることが多かったのです。その中で、研究と実践の交わる「医療」という特殊な現場で、常に難しい判断を強いられる「医師」という職業への関心は高く、「医師はいかに選択し、いかに生きるべきか」、という問いは、私にとって他人事とは思えない課題となっております。

トリアージにおける倫理的問題

例えばトリアージの倫理的問題を一つ挙げてみましょう。一般の方もいらっしゃるので説明すると、トリアージは救命救急における治療の優先度を決めるもので、フランス語でtriage=「選別」を意味する言葉です。これは医療必要度の観点からまさに患者を「選ぶ」というもので、「黒=もう助からない」「赤=重篤で緊急性が高い」「黄=赤の次に緊急性が高い」「緑=緊急性が低い・軽傷」の4色のタグを各患者につけて、赤から順に治療を進めていくものです。

これは、思想としては、「人の命は全て平等=等価」だという考えのもとに、「できる限り多くの人の命を救う」ことを目指していると理解しております。しかし、本当にそれが正しいのでしょうか?

3人の救急患者

例えば、3人の救急患者がいたとしましょう。一人は、助かる可能性が低く、その処置も長くなることが予想されるが、若くて前途有望な青年だとします。残り2人は、緊急に手当をすれば2人とも一命を取りとめることができるものの、助かっても植物状態として数年生きることしか見込めないような老人だとします。

青年を優先的に治療すれば老人は確実に亡くなり、青年も助けられるかどうかわかりませんが、青年が助かれば、青年は残りの長い人生を存分に生きることができます。

老人を優先的に治療すれば2人の命は確実に助けることはできますが、2人とも意識が戻ることはなく、植物状態のまま生きることになります。また、青年は助かるための最後のチャンスを失うことになります。

さて、このような場面に遭遇した際、医師としてはどのように対応すべきでしょうか?

人間の命の価値は平等か?

人間の命の価値は皆平等、ということを前提とし、「命を”救う”」ということを最も重要視する立場からすれば、後者の老人を優先的に治療すべき、ということになります。しかし、直感的には前者の青年の方を助けるべきように感じられます。なぜなら、後者の選択は誰も幸せにならないが、前者の場合には、青年が助かって幸福な人生を送る可能性が残っているからです。

ただし、現実的には後者を選んでしまいそうですね。後者であれば、2人を確実に”救命”することができますし、青年に関しては「もう助からない状態だった」と説明すれば遺族に対しても顔が立つというものです。

しかし、現実的にこのような選択をしてしまう、ということと、本来そうすべきだ、ということは異なります。たとえそれでその場を切り抜けることができたとしても、医師の方にとっても、老人の方を助ける選択は後味が悪いのではないでしょうか?

この人間の命の価値の平等性の問題については、こちらにて詳細に検討しています。

このような問題をひっくるめて扱っていき、医師の方々が臨床の場やキャリア・私生活において思考と判断を行なう上で、役に立つ情報やハッとするようなアイデアを少しでも共有できればと考えております。

医師のwellbeingを実現するために、これから一緒に考えてまいりましょう。

 

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