人間の命の価値は平等か?―命の選択に医師はどう向き合うべきか?

”医師の誓い”で宣言されている命の無差別・平等性

「人間の命の価値は平等である」とはよく言われます。実際、世界医師会が採決した“医師の誓い”の中でも「私は、私の医師としての職責と患者との間に、年齢、疾病もしくは障害、信条、民族的起源、ジェンダー、国籍、所属政治団体、人種、性的志向、社会的地位あるいはその他どのような要因でも、そのようなことに対する配慮が介在することを容認しない。」(ジュネーブ宣言)と、患者を差別して扱うことを禁じています。

ただ、この命の「無差別性」ないし「平等性」は現実に可能なのでしょうか。確かに、人種や民族、性別などが理由で軽んじられてよい命はないでしょう。しかし、臨床の現場においては、何らかの方法で命を選択しなければならない状況に陥ることもあるのではないでしょうか?

こうした現実の場面を加味しないで「命の価値は平等だ」とただひたすら訴えることは、むしろ非常に危ういことで、また誠実でもないと私は考えます。一つ思考実験を例に考えてみましょう。

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